理系作業療法士のブログ

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プライドを傷つけにくい認知機能の評価法【アルツハイマー型認知症】

日本は高齢化社会であり、さらに加速していくことは間違いありません。

認知症の方はますます増えていくでしょう。

OTとして認知機能評価を行っていますが、患者さんのプライドを傷つけてしまうことはよくあります。

「私は、こんな事ができないのか…」

「自分は、なんでこれが思い出せないの?」

とショックを受ける方は非常に多いです。もちろん、フォローやケアはするのですが、そもそも傷つけずに、ある程度評価する方法はないのでしょうか?

認知機能の主な評価法

以下の評価が有名です。

(ただし、有名なMMSEは教育歴の影響を受けやすいので、認知症の評価として使用する際には、教育年数を聞いておく必要があります。)

評価対象

検査名

全般的認知機能

・HDS-R ・MMSE

主に前頭葉機能

・かなひろいテスト ・TMT ・FAB ・Stroopテスト

主に頭頂葉機能

・時計描画テスト・立方体模写

記憶

・WMS-R ・リバーミード行動記憶検査

どれも優れた方法ですが、患者さんの能力に対して難しい場合、プライドを傷つけやすいのが難点です。

そこで、導入やスクリーニング検査として、おすすめの評価法があります。

時計描画テスト(CDT)がおすすめ

時計描画テストはシンプルです。基本的に「時計の絵を書く」だけです。

患者さんに白紙と鉛筆を渡し、4つの指示を出します。

①時計の絵を書いてください

②円を書いてください

③円の中に数字を書いてください

②11時10分を指すように書いてください

以上です。かなり簡単で、指示が分かりやすいです。

 

CDTで何が分かるか?

中国での研究において、軽度認知機能障害からATDに移行する要因を予測できると報告されています。数字の配置や時計回りかどうか、矢印など7つの要因です。

journals.plos.org

また、認知症専門クリニックの河野和彦医師の著書でも、紹介されています。(ただし、河野先生の方法は上記の方法とは異なります)

教育歴の影響を受けにくく、プライドを傷つけにくい方法の一つとして、認知症の評価に使用できそうです。

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使用感はどうか?

日常的にCDTを使用している立場としては、被験者の方が失敗を感じにくく、他の検査法ほどにはプライドを傷つけなくてすみます。検査時間も短時間ですみ、非常に使い勝手の良い評価だと思います。(個人の感想ですが)

誤りの例としては、時計の数字が左右逆転していたり、時計の輪郭に耳を書く、などが見られます。

CDTの注意点

量的評価としては、採点方法が標準化されていないため今ひとつです。また、記録に残す際にも記載が難しいです。

ただ、直感的には理解しやすいので、ご家族様やスタッフで情報共有する際には有用であると思います。

まとめ

量的評価としては欠点もありますが、プライドを傷つけにくい方法としてCDTは評価法の選択肢に入ると思います。認知症の評価は、複数の評価法や観察、ご家族様の情報を総合して行うのが基本です。その際に、CDTもひとつ、選択肢に加えてみることをおすすめします。

zenryu.hatenablog.jp