理系作業療法士のブログ

整形外科、認知症、内部障害の作業療法を中心に取り組んでいます。OTの仕事や研究について書いていきます。

大腿骨頸部骨折の作業療法

大腿骨頸部骨折の患者さんへの作業療法って・・・皆様どのようにされていますか?

 

一年目のとき、一番症例数が多く、一番悩んだ疾患でした。

教科書を読んでも、リーチャーとかお風呂の動作指導ぐらいしか載ってないし、OTとしての関わり方はわからないことが多いのではないでしょうか。

 

ヒントは常に、患者さんの訴えにあります。

皆様は、こんな患者さんに出会ったことはありませんか?

 

「わしは布団でしか寝たくない!ベッドなんて使ったことないし、畳にベッドなんて置きたくない!布団でないと嫌!」

・・・この訴えは、他でもない私自身の話なので恐縮なのですが笑

結構この訴えはよく聞きます。

 

こう言われたとき、どうしていますか?本人を無理やり説得してベッドを設置したりしていませんか?

その人らしさを重視することを自称するOTが、ベッドの設置を必死になって説得する、というのは矛盾していると思います。というか、床上動作をしても脱臼しないかどうか、主治医に確認していますか?

 

その人らしい生活を支援するのがOT、とするならば、この願いを叶えてあげるためにどうすればいいか、ここにヒントがあると思います。

あなたの担当患者さんが、和室で寝られるようにするには、どうすればいいのでしょうか。

 

OTは術後からの取り組みを時期で分類するのがベストだと思います。私が実際に行っている臨床(当院は術後〜退院まで関わる)から、3つに分けました。

 

  1. 解剖学・運動学・生理学・整形外科学的なアプローチ(急性期)
  2. ADLのアプローチ(回復期)
  3. 個人因子・認知機能へのアプローチ(回復期〜退院)

術後すぐは、①が大切です。

術創部をグチャグチャにしないように留意しながら筋スパズムをとる、癒着を予防しなければ、後々非常に困ります。癒着は待ってはくれませんし、悠長なことをしていると拘縮します。

それをしていく上では、X線画像を見て、術式を理解し、縫合されている組織の理解は必須です。まずは一人で勉強し、PTに質問し、可能ならば整形外科医と仲良くなりましょう。床上動作ができる術式かどうかは、整形外科医に確認しなければなりません。無理なものは無理なので、絶対に確認してください。

松本先生の著書が詳しいので、一人で勉強しても結構理解できると思います。参考にしてみてください。

 

次に、②ADLのアプローチですが、これは成書があまりなく、各病院によって行う内容が意外と違います。これは、各施設で相談してもらうと良いと思います。

 

最後に、③ですが、認知機能の評価も必要です。リーチャーを使用したり、股関節屈曲・外旋位での動作(後方アプローチの場合)を獲得する必要があるので、理解と記憶は必要です。私は、高次脳機能はADLに汎化できないことが多いため、学会発表以外では机上検査を取ることにこだわりませんが、MMSE程度はとっておくと良いと思います。リバーミードは…状況を見ながら取っていることとします笑。

 

余談ですが・・・

最近、③をやたら褒め称える風潮があります。もちろん大事なことですし、「患者さんと目標を一緒に話し合って決めるまでは身体には触らない」といった高尚なOTもおられます。それはもちろん、素晴らしいことです。

私も、OTになったばかりの頃は③を活かそうと頑張って某カナダや某作業モデルの評価法を躍起になって評価していたこともあります。しかし、落ち着いて考えてみれば、ここは後からでもなんとかなります。急性期には絶対しません。

理由はもちろん、患者さんにとってベストな治療法ではないからです。

相手(患者さん)の立場に立って、最高のことをしましょう。

 

最近は、「OTとPTの違いって何?」と聞かれることにビビらなくなりました。患者さんにとっては、ベストな治療法ならば、セラピストがPTかOTかなんて、どうでもいいことだと思うのは、私だけでしょうか…笑

 

文献

松本正知(著)、青木隆明(監)、林典雄(監):骨折の機能解剖学的運動療法 その基礎から臨床まで 体幹・下肢

2-10 認知障害に対するリハビリテーション脳卒中ガイドライン2009