理系作業療法士のブログ

整形外科、認知症、内部障害の作業療法を中心に取り組んでいます。OTの仕事や研究について書いていきます。

生活行為向上マネジメント(MTDLP)への疑問

まずはじめに断っておきます。

 

MTDLPに否定的な内容です。

 

力を入れておられる方は不快になるかと思いますので、ここで引き返してください。

 

大丈夫ですね?

 

私個人の意見です。

あくまで個人の意見ですが、未完成品すぎて使い物になりません。

「機能訓練に偏らず、生活を診る」MTDLPの意義は理解しますが、全くと言っていいほど実用的とは言えません。

 

一番大きなポイントとしては、

「OTの介入は生活行為を改善できる」ことを保証するものではない

ことです。

そもそも「生活行為」の言葉の定義も曖昧ですし、人によって違いすぎますし。

まあ、生活行為 ≒ ADL + IADL  ぐらい大ざっぱに捉えるとしても、

「生活行為を良くする」ことは、ヒジョーーーに難しいことです。

生活行為に対しての予後予測としては、現状では

「病気・怪我の重症度」≫「OTの介入」であり、

「クライエントの年齢」≫「OTの介入」であり、

「クライエントの金銭的・人的資源の豊富さ」≫「OTの介入」であるのは間違いありません。

もちろん、クライエントに潤沢な資金と超協力的なご家族様がいて、いつでもどんな風にでも建て替えられる家と、知識もスキルも超絶ハイレベルな医療・介護スタッフがついていれば話は別ですが。

 

しかし。

 

実際に遭遇するケースに、そんな恵まれた人はまずいません。

むしろ我々が普段向き合っているのは、

高齢で重度の病気になり、体を動かすのも億劫で、金銭的・人的資源もほとんどない人ではないでしょうか。

 

そのようなケースに対して、あなたは「OTが介入すれば良くなりますよ!」と胸を張って言えますか?

 

生活行為を良くすることができないのであれば、わざわざMTDLPを使う必要はありません。

OT協会が本気でMTDLPをやっていくつもりならば、

病気の重症度や年齢、資源といったマイナス因子を(覆せるとまでは言わなくても)対抗できるぐらいのADL・IADL・生活行為のスキルを作ることが先決ではないでしょうか?

某ダイエットジムのように「結果にコミットする」姿勢はOTが思っている以上に大切です。

OT全体として、自分たちの出している結果にもっと真剣に取り組まなければならないと思います。

整形での超音波エコー

少し時間は経っているんですが、林典雄先生の肩関節の運動療法の勉強会に参加してきました。

林先生の著書はどれも非常に素晴らしく、ずっと以前から受講したいと思っていました。

今回は日程が合い、参加することができました。

 

勉強会の内容は著書と重複する部分が多かったのでそれほど難しくなく、

先生のちょっと毒舌な口調と相まって非常に分かりやすかったです。

 

エコーを扱う技術の問題や病院の理解といったハードルはありますが、

超音波エコーは運動器疾患に非常に有用だと思います。

 

例えばインピンジメント症候群の場合、後方支持組織が固いのか後方の筋が固いのか、

それとも両方なのかは、実際に運動療法をしてみて反応を見て、

よければそれでいいですが違ったら、もう片方も運動療法をする、という手順を踏むと思いますが、

超音波エコーがあれば(使いこなせる前提ですが)どちらが問題なのかは一目瞭然です。

 

一手間減らせるので患者さんの負担(時間、お金)も減らせますし、こちらとしても

良い治療成績を残すことができると思います。

 

あとはもう少し手軽に使えれば超音波エコーは一気に広まると思うのですが・・・

打鍵器はいつ使うの? 認知症でしょ!

断っておきますが某予備校の先生のことはリスペクトしています。

時間が許すならば講義を一度は聞いてみたいです。

 

さて、

錐体路障害がある患者さん、または錐体路障害が疑われる患者さんに対して使う」という回答が多いと思います。

膝蓋腱反射などのTR(DTR、は最近はあまり使わない)、バビンスキー反射などのPRは学校でも散々練習させられますし、

実習でバイザーに叩き込まれた人も多いのではないでしょうか。

 

もちろんCVAなど中枢疾患に対して非常に有効なのですが、私は作業療法士としては

 

認知症の患者さんに使う

 

ことが有効な使い方なのでは、と思います。

 

認知症は様々なタイプがあり、有名どころだとATD(アルツハイマー型)、VaD(脳血管性)、DLB(レビー小体型)、FTD(前頭側頭葉変性症)などがあり、細かなところだと嗜銀顆粒性など本当に沢山あります。研究者によっても見解、分類は別れます。

 

ですが私は臨床家の作業療法士なので細かな分類よりも気にしなければならないことがあります。

 

「いかにスムーズに患者さんの懐に入り込み、評価するか」です。

 

 

ダメな例

OTR「こんにちは。作業療法士の◯◯です。今から認知症の検査を行います」

患者さんA「・・・なんですかアナタは。私はボケてませんよ!」

患者さんB「検査?ハハハもっと頭の良い人に聞いてもらった方がいいですよ」

 

大げさに見えますがこれに近いのはたまに見かけます。ここからでも充分立て直せますが、この関係性ではこの日に深く評価するのは難しいと思います。

というか、自分で言うのも悲しい話ですが、作業療法士と言ってすぐに分かる人はまずいません。初対面でいきなり検査もおすすめしません。

やはり認知症ということはその人のプライドを大変傷つけますので、慎重に入っていくほうが無難です。

 

こういうときに打鍵器を使います。

 

 

打鍵器使用例

OTR「こんにちは。リハビリの◯◯です。どこか体の痛いところはないですか?」

患者さんA「膝と腰は前から痛いね。整形に通ってるんですわ」

OTR「大変ですね。ちょっと見せてもらっていいですか?」

患者さんA「ええよ」

 

ここで雑談をしながら打鍵器を使ってまずTRから検査します。雑談して大丈夫そうならばPRも行います。高齢者はラクナ梗塞などをしている人も多いですし、ATDとカルテに書いてあっても意外と反射が出ることも少なくありません。

 

身体の不調に共感することで安心感も与えられますし、わかりやすい方法で入っていくのがセオリーです。

インテーク面接の入り方の引き出しの一つとして、持っておいて損はない方法だと思います。

内部障害の作業療法

 呼吸療法認定士の試験勉強をしていて、呼吸器内科の奥深さを感じる日々です。

当院では呼吸器内科はないのですが、肺炎、COPD、肺がんなどの呼吸器疾患は多いですし、心不全→呼吸不全となる患者さんも少なくないので、そう考えると呼吸器疾患の裾野は広いです。

 

 呼吸・循環の勉強をすることで何が良いか?ですが、呼吸・循環の知識・技術を増やしてから治療成績は良くなった(当社比)と思います。

 

 病態を捉えることでその人の呼吸状態を捉えることができますし、リスク管理をきちんとしながら(ここ大事)、In/Outの栄養・水分バランスを考えて運動負荷を考えてリハを進めることができます。

まだ発展途上ですが・・・

 

 大げさですが、逆にこういったことを知らずにリハビリを行っていた過去の自分がいかにわかっていなかったか、猛省しております。

 学生の時、「現病歴・既往歴」なんて項目を書いていたように記憶していますが、呼吸・循環を知るだけで大幅に捉え方は変わるし、まだまだリハビリの世界は呼吸・循環領域において進化が必要だと感じます。

 

 身障領域のOTはハンドや認知症高次脳機能障害が多いですし、MOHOやCMOPをベースにした関わりも好きですが、必須の知識の中に呼吸・循環の知識も加えてやっていければいいな、と思います。

 

 病院ではレントゲン、CT、血ガス、血液検査、呼吸器検査などの検査データがあることが多いので、OTを進める際には非常に便利だと感じます。

 OTは学校でも習わないことが多いので敬遠しがちですが、勿体無い話だと思います。

呼吸療法認定士 勉強方法

お久しぶりです。

呼吸療法認定士の勉強ですが、最近やっと真面目に取り組みつつあります。

今回は勉強方法について紹介してみようと思います。

勉強方法はその人の思考タイプによってそれぞれだと思いますが、暗記が苦手な人は参考にしてみてください。

ちなみに私は理系だということもあり、暗記は非常に苦手なので、ほとんどできません。

試験対策時間も、それほど多く取れません。

 

「試験」と名のつくもののポイントは以下の通りで取り組んでいます。

①試験の出題傾向を知る

 ここが一番大切です。具体的には、網羅性のある問題集を「とにかく早く、とにかく多く」周回します。私は青本を使用し、まず問題を見て、分かれば解き、分からなければ1秒で解答を見ます。1秒は大げさかもしれませんが、本当にすぐに見ます。

ここでのポイントは、難しくても悩まずに答えを見て、次の問題に移ります。

悩んでるような時間は無駄です。どうせ何周もするので最終的には必ず解けるようになります。

1周目が終わればすぐに2周目に入ります。復習はしません。

大体2~3周すればだれてくるのですが、頑張って5周ぐらいはします。

1周目は苦行ですが、5周すればだいたい傾向はわかるようになります。

 

②試験の核を知る

 ここで初めてテキストを少し使います。一行ずつ真剣に読みます。すみません、嘘です。

試験の核になるのはどこか?と考えながら斜め読みします。

講義の中で講師の方がポイントとなるところを教えてくれているので、それを思い出すのもいいと思います。

ここも1周すれば2周、3周と周回します。

試験を受けたことのある先輩が職場にいる場合は、核となる部分はどこなのかと質問すればすむ話ですが、私の場合はそれはできません。呼吸内科のDr.のブログや、呼吸療法認定士を受験された方のブログを見ます。教科書的な固いものではなく、平易な言葉で書いて頂いているものが望ましいです。

 

③知識の説明をできるようにする

 ①②だけでだいたいの試験は合格できるか、不合格になると思います。

というのは冗談ですが、実際、これぐらいのタイミングで試験を迎える事が多いのではないでしょうか。

しかし合格可能性を少しでも高めるためには、自分に対して質問し、答えられるようにする事が必要です。なんでも構いません。例えば、

CPAPとSIMVの違いは?」「気管支拡張薬は何がある?」ぐらいの質問から初め、慣れてきたらレベルを上げていく…というのがいいのではないでしょうか。

一緒に受験する人がいたら、問題を出し合うとさらに効率が良いと思います。

個人的には、ここをしっかりやった試験は合格し、怠ったor時間が足りなかった試験は大体不合格になっています。

 

特別なことはしていませんが、何かのお役に立てると幸いです。

新人OTさん向けの書籍(基礎編)

さて、新年度が始まりましたね。

新入職のOTさんたちは、実習や国試とはまた違う知識をたくさん勉強していく必要があると思います。

職場の先輩たちにどんな勉強をしていけばいいか、聞くのもいいですし、自分で必要と思う本を買うなどの方法もあります。

身障のOTなら持っていても損はないと思える書籍を紹介しようと思います。

 

まずは『人間作業モデル』

OTの考え方やAMPS、ACISなどの評価法が載っています。翻訳が分かりにくい所も多いですので、一度書店で確認してからの購入をお勧めします。汎用性が高いとは思いませんが、OTとしての核の部分だと思いますので、1冊目に挙げます。

 急性期、回復期どちらでも「リスク」がつきまといます。転倒はもちろん、DVTがある患者さんのリハってどうしたらいいか?なんてほとんどの新人OTは知らないと思います。

リスク管理は必ず必要です。

また、急性期では特に呼吸、循環の問題や薬剤の影響など、考える事が多いです。離床についてはこの本の内容をまず抑えておけばいいのではないでしょうか。

 

 解剖学は何冊も見ましたが、『プロメテウス』が一番お勧めです。絵がとても見やすいのと、医学的な一口メモ、簡単な運動学も載っていて飽きない事がその理由です。ボバースやCIMT、PNF、AKA、SJF…色んな手技を勉強することも必要ですが、病院で行うリハビリは医学です。結局解剖が大切だと実感します。

 

 

運動学は『4DCT』が一番です。学生のころは某『基◯運◯学』を使っていましたが、就職してからこの本を見て衝撃を受けました。この本はDVDが付いていて、人体が動いている所を4DCTで見ることができます。ハッキリ言って、学生の頃に習った事は結構な部分が間違っていると感じました。『キネシオロジー』は滑り・転がりを初め、数学的な手法で解説されている部分も多く、とても分かりやすく詳しいです。

 

 

 

 

 

解剖学と併せて、実際に触れるようにすることが求められます。触診はプロメテウスと併せて持っておくと心強いです。

 

 当院は整形外科が多いのですが、OTは実習で肩関節疾患を見ないことが多いです。

肩は関節自由度が高く炎症を起こしやすいという特性があり、拘縮治療(運動療法)が難しいのですが、この本は解剖学、運動学、生理学から手技まで分かりやすく解説してくれています。

このあたりの本は今でもほぼ毎日見ています。解剖や運動学は、頭の中に正確に人体をイメージできる事が必要だからです。イメージできるかどうかが、治療成績を決めると言っても過言ではありません。

もしよければ参考にしてください。

急性期における作業療法士の役割

急性期の内部障害患者さんに対して、作業療法士は何ができるでしょうか。

 

僕個人の考えですが、その人の全体像を考えて離床を進める事がOTの役割だと思います。

そのためには作業の前段階として、早期離床していくことが大切だと思いますが、これが意外と難しいのではないでしょうか。

早期離床を進めるには、以下の2つがポイントだと考えています。

 

① リハビリ効果とリスク管理を天秤にかける(多くの知識、技術が必要)

② 患者さんからのフィードバックに敏感になる

 

1つ目は、リハビリ効果とリスク管理を天秤にかけることです。

具体的には医療の知識・技術が必要です。画像・血液データや心電図などの検査結果や、聴診・打診をはじめとしたフィジカルアセスメント各種を用いて離床できるかどうか?を考えて、離床を進めます。リスク管理しながら離床を進めるのは膨大な知識と判断力が求められます。

また、意外と大変なのがルートトラブル等の事故を防ぐ事です。点滴やモニターの線がごちゃごちゃしていることは少なくありません。事故にならないように、何年経っても、ルートにはかなり気を遣います。

 

2つ目は患者さんからのフィードバックが得られにくいことです。話せる人はもちろん分かりますが、急性期では話せない人が非常に多いです。

もっと積極的に離床できるのか、それとももっと安静にするべきなのか、すぐには分かりません。フィードバックが得られにくければ、離床は消極的にすればその分リスクも減ります。しかし、リハビリの効果も減ってしまいます。体位変換による血圧・SpO2の変動や体温、尿量などのバイタルサイン、フィジカルアセスメントに非常に敏感にならないといけない。考えずにやっていると体の中で何が起きているか捉えることができません。

 

離床におけるOTの役割やリハ内容については、僕はもっと開拓できる可能性のある場だと思います。